『世界一キライなあなたに』(Me Before You)を見て
『世界一キライなあなたに』(Me Before You)は、ジョジョ・モイーズの小説を原作にした2016年の映画です。
主人公ルー(エミリア・クラーク)は明るく元気な女性。そんな彼女が、事故で車椅子生活となったウィル(サム・クラフリン)の介護の仕事をすることに。最初は冷たいウィルとルーの距離は遠かったものの、徐々に二人の心が通い合っていく展開が胸を打ちます。
※この投稿にはネタバレを含みます
私が心に刺さった言葉
私がこの映画で心に刺さった事は、ルーが『私は仕事に行って帰るだけ』とそれで満足しているようにウィルへ伝え、車椅子生活で自由に生きる事のできないウィルに『僕よりつまらない毎日だ』と言われているところでした。
この時のルーは少し前までの私と同じでした。私も仕事へ行って帰り、休みの日は友達と遊ぶ。それだけで満足していました。
当時20歳頃の出来事で、友達とビリヤードをしている時に外国の方に絡まれました。『君は何がしたい?何になりたいんだ?』と聞かれ、私は『今のままでいい!安定して友達と遊べていたらいいんだ。』と答えました。外国の方には『それではダメだ!そんなんじゃダメだ!』と言われているところで、店員さんに悪がらみをされていると思われ、助けられました。
この時の事は、ずっと頭から離れず、それでもその状況のまましばらく生きて来ました。ここ数年になって自分の生き方に疑問を抱き、本を読み、勉強して行く中で、このビリアードで出会った外国の方の言葉が頭に引っかかっている事の理由がわかった気がしました。
やりたい事を見つけ、会社に守られて人任せに生きず、自分の人生を歩みたい、私は何者でも無い平凡なままではいたくないと思うようになりました。
もっとこの方の話を真剣に聞いていたらもっと早くこの事に気づけたのかも知れない。
話は映画に戻り、少し進んで、夢を諦めたルーにウィルが『視野を広げろ!一度の人生全力で生きるべきだよ』と語るシーンがあります。
この言葉も夢も何もなかった、ずっと毎日安定して暮らせていればそれでよかった私に向けて言われているようでした。
私は現在、夢があり、そのためには今より豊かになり、多くを経験する必要があります。もっと視野を広げて多くを学び、行動に移して夢を叶えたいと思います。
安楽死について考えさせられた事
ウィルは自由に動ける人生を失いスイスで安楽死をする事を決断していました。ルーがそれを知り、一生懸命に生きてもらう為に頑張ります。ウィルはルーと一緒にいることで幸せを感じつつも、彼は「自分が望む人生ではない」と考え、安楽死への決断を覆しませんでした。これは、「愛する人のために生きる」という考え方ではなく、「自分が望まない人生を無理に生きたくない」という彼自身の選択でした。
この決断には賛否両論があり、「障害があっても幸せに生きる道はあるのでは?」という意見もあれば、「本人の意思を尊重すべきだ」という考えもあります。映画では、単なる「悲劇」ではなく、生き方や選択の自由について深く考えさせられるストーリーになっています。
私としては、ウィル本人の立場になれば、少し気持ちはわかります。いくら愛する人がそばにいてくれたとしても、愛する人にもっと良い人生があるのでは無いかと考えてしまうと思います。そして、愛する人を抱きしめたい、と思ってもそれすらも出来ない事の辛さにも耐える自信もありません。
しかし、家族や恋人としての立場になれば、どんなに大変な人生になろうとも生きていて欲しいと思うでしょう。
この問題についての答えは分かりませんが、ウィルの話した言葉の通りウィル本人もどんなに辛くとも一度きりの人生全力で生きて欲しかったと思います。